小獅子の尾

芸術大学の通信教育部に通う20代女子の雑記

【ガロ系は消えたのか】芸大生がお勧めする最近の面白い漫画

十代の頃、私は熱烈なガロ系漫画の支持者でした。
あの頃はサブカル系の書店で働いていて、その知識を活かして売り上げを伸ばしたりしていました。

そんな訳で、最近知り合った自称"漫画好き"から「ガロってナニ?」と言われた私が、思い出を語りながら漫画を紹介する記事です。

※もう思春期じゃないので、エログロは無いです。

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山本ルンルン

最近一番好きな漫画。
中学生の頃に、『マシュマロ通信』という漫画が今はなきピチレモンという雑誌に連載されていて、アニメ化もしているのですが、その頃から山本ルンルンさんの絵柄と世界観が凄く好きで・・・

本屋で働いていた頃は、『オリオン街』なんかもコンプリートしてました。

彼女が『ガロ』でデビューした事を知った時、あのアングラ系のエログロ(偏見)雑誌から、こんなかわいい漫画が出て来るのかと思って、本当にビックリしました。

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安野モヨ子


安野モヨ子さんも、ずっと好きな漫画家です。

安野モヨ子さんの作品では、これまた今はなきファッション雑誌、Cutieに掲載されていた『ジェリービーンズ』が好きなのですが、あれは本当に十代~二十代前半に向けた漫画で元気が出る良い作品です。

安野さんは、けっこう話の筋と世界観を重視していて、楽観的で深みのない脇役を作る様な所があると思うのですが、それが良い感じ。

さくらん』なんかもありますし、『美人画報』を見ていても、娼館や遊女の様な見かけを美しく着飾った表面的な世界に興味があるのかなぁと。

安野さんは、結局なんだかんだで面白いです。
装丁も素敵。

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和山やま

初めてちゃんと読んだpixivの作品。
表紙がカラーで一瞬気づかなかったけど、推薦文でコミックとして出版された事に気付いた作品。
まぁ、有名ですよね。

作風はそうだなぁ、同人っぽい要素は確かにあるのですが、なんだろうか、昔の同人作家と同じ様な感覚があります。

90年代~00年代頃の同人の空気が少なからず感じられます、個人的には!

もう私も年なので同人なんかは追ってないのですが、結構作品を出している方なんだろうか。

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阿部共実


阿部共実さんはこれぞアングラ!みたいな感じですね。
昔々に、初めて乙一の作品を読んだ時の様な衝撃で、狂気すらポップに感じられました。
凄い漫画だと思います。

ただ、こういう狂気を感じる系の作品って、結局創作し続ける事が難しいジャンルだと思うんですよ。

乙一しかり、神聖かまってちゃんしかり。
阿部共実さんも、徐々に狂気が暖和されている様な気がします。

それで良いと思います。

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one


多分誰でも知ってる『モブサイコ』ですが、これってもう80~90年代そのままの空気がありますよね。

超能力ブームにUMA新興宗教ブームetc...
90年代の空気を知る人と知らない人では、全然受け取りかたが違う様な気がします。

懐古主義的な漫画ではありませんが、世紀末感と既視感が凄い。
作者さんはどう考えても、意図的に物語に当時のオカルト要素を詰め込んでますよね。

本当に、オカルトブームを知るだけに、この作品は他と同じベクトルでは語れないです。
オカルト好きは読んでください。

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ガロ系漫画は消えたのか?

秋葉ブームによって、漫画・アニメ産業が急激に成長してから随分たちます。

漫画も売り上げを重視した量産型が目立つ様になり、時々、ガロ系の万人受けしない漫画が減ってきた様な気もします。

なんだか、例えば薬屋のライトノベルが流行れば同じ様なコミックが乱立し、時代物のコミックが流行れば時代物のコミックが乱立する・・・みたいな状況が少なからずあるかな、と思います。

出版不況で、売れる物を作る!みたいな所が全面に出ている気がして、例えば○○が○○な訳がないみたいなタイトルが量販されてたり、そういう商業主義を以前より強く感じるなぁ、と。

そんな中で、利益を度外視したガロ系の漫画はどこに行ったんだろうかと、少し前まで考えていたんですよ。

でも良く考えたら、利益を度外視した漫画の居場所があったんです。
Webに。

今はWebも商業との結び付きが強いですが、90~20年代頃はWebって利益を出そうとしたら叩かれる位の空気があった。

本来は利益と結び付かない場所でもある。
だから、Webコミックから出版社に至った作品は個性的な物が多いな、という印象があります。

出版社が運営してるWebサイトで連載されてる漫画じゃなくて、個人で公開している様な漫画の事です。

それって凄く自然な流れで、ある意味では同人の現代版だなぁって思ったんですよ。
あぁ、利益を度外視して表現できる場所なんだって。

同人誌みたいに出版せずとも全世界に公開できるんだな、と。
まぁ、そういう事を考えていました。

では!

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