小獅子の尾

芸術大学の通信教育部に通う20代女子の雑記

【趣味を仕事に活かす】無資格だけど、博物館で働く事になった

職を転々としていた私ですが、信じられない事に某出版社で非正規の職員として働く事になりました。
教育部門でのお仕事で、念願の博物館勤務です…!

これまでの経緯と、趣味が転職にどう役立ったのかを書いてみようと思います。


学芸員課程にも進めない日々

このブログにも書いてきた事ですが、この数年間はずっと学芸員資格を取る取る詐欺で、資格を取りたいけど取れない状況でした。

コロナ禍に同居の祖母の病気と不幸、更に叔父の難病発覚…
めまぐるしく移り変わる生活の中で、勉強をする時間などありませんでした。

雅楽の習い事では、演奏会への参加で仕事を休まざるを得ない状況となり、職場での立場も健康も奪われました。

あの時、勉強よりも仕事に打ち込んでいたら…と、通信制の芸大を卒業した事を後悔した事もありました。

大変な日々の繰り返しで仕事まで無くなり、勉強なんかするだけ無駄だったとうちやられていた所、転職活動で博物館勤務という夢が叶ったのでした。

仕事や人生について考える

病気療養と同時進行の転職活動でしたが、なんだか色々な事を考えました。

祖母の介護をしていた頃は、介護を最優先に考えざるを得ませんでしたが、祖母亡き今は自分で自分の人生の優先事項を決められるのだと考える様になりました。

雅楽を優先するのか、神楽を優先するのか、仕事を優先するのか…
取捨選択の先に、どんな人生を望むのか…色々な事を考えました。

話も聞いてくれない会社や、その場で即決で採用になる会社…どちらも安定して働けるとは思えませんでした。

どんな仕事をしたいのか、そんな事はあまり考えた事が無かったのですが、考えて考えて、決めあぐねている時に博物館の求人を見付け「これだ!」と思ったのです。

その後も何日か考えましたが、考えれば考えるほどここしか無いと思い、思いきって応募したのでした。

学びへの評価は立場で変わる

芸術大学で、伝統芸術を学んだ事。
雅楽や神楽を習ってきた事。
書道やくずし字読解を習った事。
職業訓練校でインターネットやコーディング、画像加工を学んだ事。

全部趣味程度で、結局何の役にも立たないと思っていました。

正直、人から馬鹿にされる事も多々あり、学芸員課程に進学したいという話すら鼻で笑われる始末でした。

何もかも意味無かったな…とガッカリしていたのですが、博物館では「WEBサイトの更新やSNSの運用もお任せしたい」と好意的に受け取って貰えました。

大学での学びや雅楽や書道の習い事も、地域の文化や作品、団体を知っている事で、直接イベントや展示に活かせると喜んで貰えました。

相手の立場や考え方、自分の立ち位置の違いで、こんなにも評価が変わるのか…と目から鱗が出る思いでした。
当たり前の事ですが、物事に対する評価は人それぞれ違うのだと気付かされました。

学んだ事はやがて血となり肉となる

むかし、神楽の奉仕をしていた神社の宮司さんが言っていました。
「仕事や肩書きの為に勉強するのではなく、自分がやってきた事が仕事や肩書きになるんや。肩書きの為に頑張っている人は順番が逆や。」と。

ずっとその言葉を信条にして学んで来ました。
神楽を後世に伝えるため学術的に記録しようと大学へ進学し、音楽を学ぶため雅楽を習い、譜面の写しを作るため書道を習い…

今回の転職では、宮司さんの言葉を信じて利益などは考えずに学び続けた事が役に立ったと思います。

本当に芸術や文化が好きな事、十年単位で学び続けている事、地域の文化や芸能に目を向けていた事が評価されたのは、面接の段階でも明らかでした。

こんな事が役に立つ日が来るとは…
非正規とはいえ大手出版社の教育部門でのお仕事なので、ちょっと信じられない気持ちでいますが、諦めずに勉強を続けて来て良かったと思います。

取捨選択の中で学んだ事は、やがて自分自身を形作る礎になるのだと、そんな風に思いました。

学芸員資格が活かせる仕事

世間では「学芸員資格は役に立たない」という、学ぶ人からすると不本意な認識がありますが、学芸員資格が活かせる仕事は結構多いです。

博物館では当然役に立ちますが、博物館以外でも、古美術の販売や運送、寺院などでの資料の整理や発掘、人文系の研究所での仕事など、学芸員資格が必須の仕事は意外とあります。

そして、学芸員資格必須の仕事は、当然学芸員資格のある人しか応募もできません。

社会人が勉強する事のメリットとして、仕事の幅を広げる事ができると書いている記事を見たことがありますが、まさにそういう事なのでしょう。