小獅子の尾

芸術大学の通信教育部に通う20代女子の雑記

日本の労働問題について元不登校の私が思う事

現在の日本は政府の政策で名目上は"好景気"の状態なのだそうですが、実際には労働者の賃金は下がり、デフレの状態が続いています。

過労死や過労自殺、終身雇用制の崩壊、長時間労働サービス残業・・・労働関係の問題は多岐に渡ります。

今回は元不登校・元フリーターの私が考える日本の労働問題について記事を書いてみようと思います。

戦前の労働観

私の労働に対する価値観は、長年同居していた祖父や祖母からの影響が大きく、戦前の地方の労働に対する価値観が根底にあります。

祖父は尋常高等小学校を卒業後、トラックの運転手等の仕事を経験し、三十代の時に一千万円の貯金を元手に個人事業を立ち上げています。
この頃は経済成長期で、どうも儲かっていた様です。

親類にも個人事業主が多く、蕎麦屋や菓子屋の様な飲食店や車の整備、電気工事やユンボの運転等々、それぞれに自分のスキルを元にした小規模な会社を運営しています。

曾祖父や曾祖母も個人事業主として、石切(墓石や石像等に使う石を切り出す仕事)やパンや菓子類の製造・販売、能面の製造・販売等を仕事にしています。

田舎で仕事が少ないという環境的な要因もありますが、雇われる事=安い賃金で使われる事という価値観があり、30~40代で独立すべきだと考えている人は多いです。

企業に使われたくないと考える人が地方には未だ点在しています。

大手企業で感じた違和感

不登校から通信制高校を卒業した後、高校から就職の支援が受けられなかった事と、就職氷河期が重なり暫くはフリーターとして過ごしていました。

非正規として幾つかの大手企業にも勤めましたが、私が勤めた大手企業は全て長時間労働が基本になっていました。

そもそも、日本のサラリーマンの平均労働時間は1日に9時間、1時間の休憩を含めて10時間拘束という事になります。

兄などは新卒で就職しましたが、帰宅時間が深夜2~3時になる事もしばしばあった様です。

私も月10万円に満たない月給でありながら、深夜まで続くサービス残業を命じられた経験があります。

繁忙期には23連勤等のシフトもあり、数回の転職を経験しましたが、日本の社会全体が不景気からブラック化しているのかな、という感覚があります。

会社での労働環境の悪化によって、従業員同士の関係やモチベーションも変化します。

労働環境を犠牲にした上で利益を追求する事で、従業員の事情を顧みない経営になりがちだからです。

私の勤めていた会社では、親の介護をしながら勤務をしている方が複数人いましたが、彼女達が親の容態が悪化して会社を休む場合でも、シフトに余裕がない事から数日間は休んだ人が無視される様な状況になっていました。

この様な状況で高圧的に振る舞う人達は口を揃えて「みんな我慢してるのに個人的な事で急に休むのはおかしい」と言います。

介護で仕事を休む人達が、"自分が我慢してる"というストレスの捌け口になってしまうのでしょう。

しかし、介護をしている50~60代のパートさん達は大抵最低賃金での雇用で、月に10万円も稼げていません。

数十年間勤めてきた彼女たちの苦労は報われず、労働によって生まれた利益は幹部の報酬に変換されます。

社会への疑問

日本の社会において、弱者は常に搾取されています。

たった7~8万円の収入では、両親を介護施設に預ける余裕さえありません。

それでも相手の立場を顧みずに批判を続け、高齢者を退職に追い込む場合もあります。

介護をしながら人の二倍働く彼女等は社会的な"弱者"なのでしょうか?

高校の新卒で大学に進学しなかった私は落第者なのでしょうか?

今、発達障害HSP等、自分が人と違うという事を主張する人が増えています。

しかし、本来人の能力には個人差があり、人と違っている事は当たり前です。

私にはこの現象が、人の個性を受け入れず、画一的に人間を捉えようとしている社会に対する反発の様に感じられます。

日本社会はこれから、一体どこへ向かって行くのでしょうか。

私には社会の動向を変えさせられる程の力はありません。
独立する事も容易い事ではありません。

しかし、私はそれでも個人で仕事を始めたいと思っています。
人の犠牲によって初めて成り立つ様な職業には就きたく無いからです。