最近、久々に小説を読んで前から書きたかった「おすすめの小説」の記事が書ける様な気がしたので書いてみます。
本は読むんですけど、作り話は小説より演劇派なので、小説って実は苦手であまり読まないのですが・・・
結構面白かったのをピックアップしてみました。
どうでも良いけど、角川の和紙みたいなカバー可愛いくて好きです。
銀の匙
20代前半の頃に読んだ小説。
文明開化と聞くと華々しいイメージですが、当時の日本を没落した武家という立場から冷静に時代を捉えているのは、やはり自伝的小説だからなのかなと思います。
蚕の話なんかは、いかにも事実に基づく感じがしてとても印象的。
時々、普通の小説では子供はそんな事言わんやろ・・・みたいな無茶な言動があったりしますが、この小説は子供の話に妙な実感があるのがやっぱり自伝的です。
小説って作り話だからあんまり読まないんですけど、とても良かったです。
読みやすい。
高野聖
泉鏡花ですよ。泉鏡花と言えば読みにくい文体で有名ですが、彼が小説を書いていた時期というのは実は西洋をお手本に、文語体ではない新しい「書き言葉」が模索されていた時期なんだそうです。
大学で習ったんですけれど、そこで出てくる尾崎紅葉。
なるほど、泉鏡花の文章は現代の我々にとっては読みにくい筈だと。
高野聖は聖(僧侶)が魔性に惑わされる幻想小説。
僧侶でありながら魔性である女に魅了され、やっとの思いで逃れたのに、それでも心を捕らわれている部分に、この作品の良さがある様な気がしますけど、ネットで見てると他の人の意見は違うらしい。
ちなみに、口語体の書き言葉が確立される前の作品で結構面白い旅行記として『チベット旅行記』があってオススメです。
当時、鎖国状態だったチベットに仏法を求める日本人僧侶が身分を偽って密入国する実話です。