小獅子の尾

芸術大学の通信教育部に通う20代女子の雑記

【大学通信教育の卒業論文】中世神道と陰陽道・土御門神道の話

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これまで地元の神楽の事を色々と調べてきて、やはり修験道が盛んな地域だから、修験道の影響を受けてるだとか、そんな所を調べてきたのですが・・・
最近、凄い事が解って来ました。

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中世神道という罠

神楽をする時に、巫女さんが読み上げる文章があって、唱詞とか修祓とか呼ばれていて、どうも祭文に近い形式があるなぁと思いつつ、根拠があんまり無いので祭文との関係はちょっと指摘できない、そういう文章があるんですけど。

その文章を読み解いてたら、熊野と伊勢がやたらと出てくると。
そこまでは解る。
でも、一部地域ではそこに熱田神宮まで加わって来て、なんか・・・なんなんだろうって思ってたんです。

まぁ、他の地域の神社の名前も書かれてるので、伊勢・熊野・愛知だけが特別に出てくる訳でもないんですけどね。

でも気になってたんです。
そんな感じで最近本を読んでたら、中世の神道書の話が出てきて、伊勢も熊野も熱田神宮も伊勢信仰の霊地だと考えられていた事が解って、ちょっと引きました。

熊野=伊勢なの~と思って・・・引いたよね。
熊野と伊勢ってちょっと良く解んないし。

大神神社の御祭神も、現代では大物主さん=出雲の大國主さんの別名だと思われてますけど、中世には大神さんの御祭神も天照大御神

何もかも天照大御神
神楽の楽器構成から、中世の神楽の系統を引いてるらしい事は前から解ってたんですよ。

でも、中世なら中世の神道の解釈を理解した上で考察しないと、現代の感覚を持ち込んだら一気に足元を掬われて、間違った解釈をしかねないな・・・と思って。
気が遠くなりました。

あと、図書館の返却期限間違って覚えてて、延滞のペナルティで数日本が借りれなくなりました・・・ショック。

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陰陽道のこと

陰陽道の事も書いてみます。
陰陽道ね。
正確には陰陽道というか、土御門神道の事なんですけど。

なんかやっぱり陰陽師ブームの影響で、陰陽師=悪霊退散みたいに思ってる人が多くて、人形を使うとか色々言われたりするんですけど。

人形は神道の大祓えの時とかに普通に使うし、そんな魂が移ってひとりでに動き出すとか、そういうのじゃないんですけど・・・それは置いておいて。

陰陽師ってのは官職の事なんです。
朝廷で、時間を計ったり、天体観測をして暦を作ったり、そういう事をする人達の役職名です。

中国では暦を作る人と、祭祀をする人は別だったらしいですが日本の朝廷では区別を付けず、両方とも同じ人がやる事になったので、中国には無い陰陽師という役職名が出て来たらしい。

陰陽道の神様は泰山府君とか鎮宅霊符神とか、まぁ色々居るんですけど。
大体道教の神様が多いですけど。
そして、関西では陰陽道系の神社で良く祀られてますけど。

そういう神様が、神楽を舞う巫女さんの唱詞として伝承されていて、なんか普通の神社なのに、巫女さんが陰陽道の神名を唱えてたりするんですよね。

始めに唱詞の詩章を見たときに、神道の神名じゃないな・・・とは思ってた。
大和言葉じゃ無かったし、神話でも見たこと無い神名だったし・・・
でも、修験道系の神様の名前かと思ってたんですよ。

でもね、文献読んでたら違った。
陰陽道の神様だった・・・
えぇ!って感じじゃないですか。なんで陰陽道が混じってんの!?みたいな。
でも、なんかそれも良くある事みたいです。

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神道の一派としての土御門神道

最初に、陰陽道じゃなくて、正確には土御門神道って書きましたけど、そういう事なんです。

土御門っていうのは、スーパースター・安倍晴明の子孫が名乗った名前で、土御門家の事を指してるのですが。
土御門"神道"なんですよ!!

土御門家が神道を名乗り出したのは、陰陽師という官職が無くなった明治以降の話・・・だと勝手に思い込んでたのですが、違った。

数百年前から、土御門家は陰陽道神道の一派であるという考えの元、土御門神道を名乗っていたんですね~

そして、けっこう家の地元の宗教家とか芸能者の人達は、土御門家の支配を受けてたりする。
なぜか。
当時の日本では、陰陽道神道の一派として受け入れられていたから。

恐ろしい話です。
もうねぇ、現代の常識が通用しないんですよ。
派閥が云々の話じゃない。

神楽巫女は特定の神社に所属せず、土御門家の配下にあり、彼女達の伝えた儀礼が未だに家の地元で神楽として伝承されていると。

特定されたくないので詳しくは語りませんけど、もうね、神社が陰陽道の関係だとか、陰陽師の派閥がどうとか、そういう話じゃないんですよ。

陰陽道吉田神道なんかの儀礼を取り込みながら、神道の一派としての土御門神道を形成して、それが民間で神道儀礼として受け入れられて現代まで継承されている訳なんです。

もうね、違うんですよ。
現代の神道の常識は通用しないんですよ。
なんかそういう、私の足元を掬おうとする中世神道とか陰陽道の罠の数々。

研究って恐ろしいですよね。
神楽の深淵に覗かれています。
志を試そうとしているかの様です。

こんな面白い事は他に無いですけど、変化球ばっかり出してきて、ちょっと嫌らしい感じもしますね。
恐ろしい話です。


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