【ロスジェネ・ミレニアルズ】不登校の少女がビートルズを偏愛していた話
知り合ったばかりの人と話をするとき、好きな音楽は何かという話題が良くでる。
そんなとき、正直私は困る。
最近の曲は聞くには聞くが、次々と新曲がリリースされ、"大好きな曲"も目まぐるしく移り変わるポップ・ミュージックの世界に違和感を感じてからずいぶん経つ。
現代のポップ・ミュージックも聞くけど、あまり知らない。
普段良く聞くのは雅楽と、宝塚歌劇で買ってきたブロードウェイの楽曲だけど、あまり音楽は聞かない。
好きな音楽を話しても共通の話題にならないので、いつも適当に誤魔化してしまう。
それでも10代の頃からずっと聞いている音楽があって、それがビートルズだったりする。
不登校と尾崎豊
社会学のスクーリングで、不登校の子は尾崎豊が好きな子が多いと聞いた。
尾崎の曲を聞いて、あぁ、私がビートルズのジョン・レノンに感じるイメージを、他の子達は尾崎豊に感じてるのだと思って不思議な感覚だった。
今の日本では、ジョン・レノンと聞くとラブ&ピースのイメージが強いのかも知れないが、ラブ&ピースはむしろレノンよりもヨーコのイメージだ。
ジョン・レノンは典型的なアダルトチルドレンで、両親とは生き別れの様な状態だったらしい。
ビートルズ解散後には母親との関係に関する心理的な治療を受けており、「MOTHER」はその頃に書かれた曲だとされている。
ビートルズと言えば、あの特徴的な髪型・・・マッシュルームカットと細身のスーツだが、あれは宮廷音楽家の容貌を真似ているらしい。
リヴァプールの労働者階級の少年(青年)達が、宮廷音楽家のコスプレで不良の音楽を演奏する。
皮肉かつ反骨的ではないか。
YouTube
※なぜかYouTube埋め込みが出来たり、出来なかったりしています。
初めて意識的にビートルズを聞く
私が初めて意識的にビートルズの曲を聞いたのは、中学の英語の授業でだった。
多分、その時は初期のキャッチーな曲を聞いたと思う。
ダサいと言っていた子もいたけど、私は好きだったのでまた聞いてみようと思った。
そんなときに、家で古いCDが纏められたゴミ袋の中にビートルズのリマスター版CDが入っているのを見付けて、CDなんか買えない中学生の私はそれを延々とリピートして聞いていた。
タイトルは「LET IT BE」だった。
今思うと、初めて聞くならそんな解散直前のアルバムより、エプスタインが存命していた時期の曲を聞けば良いのに・・・という感じだけど、親父殿のお古だから仕方がない。
でも、それは意識的に聞いた時の話。
初めて聞いた時から、なんだか聞いたことがある様な既視感があって、ずっと不思議だった。
何年も考えていて、いつだったか忘れたがその疑問が解けた時があった。
そうだ、ポンキッキーズだ。
ポンキッキーズ
一番覚えているのは「ALL YOU NEED IS LOVE」で、ラインダンスの映像と共にら~、ら~、ら~という音楽が流れていた。
ずっと鼻歌を歌っていると思っていたが、あれは鼻歌ではなくて、love,love,loveという歌詞だったのだ。
私は幼稚園ではなく、保育園に行っていたのだが、保育園児の頃は熱烈なポンキッキーズのファンだった。
当時からのめり込む性格だったのかも知れない。
毎日(おはスタみたいに毎日やっていたと記憶している)ポンキッキーズが終わるまでは意地でも通園しない頑固な子供だったのだ。
お陰で私は毎日遅刻して、遅刻魔として有名な存在だったが、遅刻した事を責められるよりもポンキッキーズの方が大切だった。
保育園に行きたくない訳ではなくて、コニーちゃんのジャカジャカジャンケンが終わるまではテレビの前を動きたく無かったのだ。
薬物依存と音楽
そんなこんなで私はずっと同じCDを聞いていたのだが、中学一年の頃に夢枕獏の小説『陰陽師』にどハマリし、いつの頃からか古本屋に通う様になった。
父親に文句を言われながらBOOK・OFFまで送迎を命じていた際に、ふとビートルズのCDは中古でも買える事に気が付いたのだ。
始めに買ったのは「BEATLES FOR SALE」だったろうか、もう覚えていない。
CDを買い始めてからは、すぐにビートルズはキャッチーなバンドではない事に気が付いた。
例えば「TOMORROW NEVER KNOWS」なんてパッと聞いて良いね!となる様な曲では無いし、正直良く解らない。
しかも、CDに付いている紙切れにはSEや薬物が云々などと書かれている。
でも、その頃の私は精神病院の陰謀(確信している)で薬漬けになり、今は発売禁止薬となっているエリミン、ハルシオン、マイスリー等々、強い睡眠薬を常用せねば眠れない状態で、薬の副作用で幻覚をみる事もあった。
そんな私にとって、彼らの楽曲は共感できる物のように感じられた。
youtu.be
youtu.be
ミュージックビデオと芸術
ビートルズを愛好する生活は二十代前半まで続いた。
二十代を超えてからは、ソロの楽曲も聞くようになっていた。
今もすべての曲は聞けていないのだが、それでも今もお気に入りのCDが何枚かある。
十代後半頃から携帯電話を手に入れて、熱心にソロとして発表された楽曲のミュージックビデオを観ていた。
特に好きなのが「WORKING CLASS HERO」で、この頃には映画なども見ていて、「STRAWBERRY FIELDS」がレノンの自宅付近の孤児医院の名前だという事も知っていた。
ある日、私は「WORKING CLASS HERO」のビデオを普段通り何度もリピートして視聴していて、違和感を覚えた。
なぜこの子供たちは同じ服を着て、柵の向こうにいるのだろう。
ビデオを巻き戻しながら再生していた時、門に「Strawberry Fields」とあるのを発見して、心底感動したのを覚えている。
あぁ、これは芸術なのだと思ったし、芸術を学んでいる今もそうだと思っている。
この頃に、ちょうどビートルズ関連の映画が製作されて単館の映画館で公開されていた。
『僕のエリ』が単館でやってた頃ですね。
この頃は単館の映画館に通っていて、それがサブカル的な趣味になり、芸術に結び付いたのだと思う。
ちなみに、どうでも良いですがジョージ・ハリソンの「FAB」や「ANY ROAD」が凄く好きです。
では!