小獅子の尾

芸術大学の通信教育部に通う20代女子の雑記

【歌祭文】日本の祭文とは何か?【デロレン祭文】

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日本の宗教を勉強していると、良く見るんだけど、あんまり良く解らない物の一つに祭文があります。

奈良の県立図書館で祭文のDVDを観たので、今日は祭文について書いてみます。

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祭文とは何ぞや?

そもそも、祭文って何ぞや?という所ですね。
仏教や陰陽道に近い何かを感じます。
祭典とも関わりがありそうだし、祈祷の時に唱える物っぽいです。

私はずっと祭文=道教陰陽道で唱えられる祝詞的な何かだと思ってました。
所が、どうも違うらしいです。

奈良教育委員会による『田原の祭文と祭文踊り』というDVDによると、祭文とは、神道祝詞と仏教の願文が一体となったものだそう。

しかし、中国系の宗教との関わりも強かったらしく、Wikipediaの祭文のページには次のように記されています。

"祝詞が日本古来の祭儀に読まれ、伝統的ないし公的な性質を強くもつのに対し、祭文は個人的・私的な性格を有し、中国から伝来した祭祀などに唱えられることが多かった"

京都・奈良には道教の神を祭る神社がいくつかあって、陰陽道との関わりが指摘されていますが、祭文もやはりその様な宗教と結び付いた宗教儀礼としてのイメージが強いです。

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大衆芸能と祭文

芸能としての祭文の歴史は中世まで遡る様です。
祭文に特有の節を付けて歌謡化した物を歌祭文と呼ぶようですが、単に祭文と呼ぶ事も多いです。

密教関係の儀礼にも祭文があった気がするのですが、気のせいでしょうか。
声明か何かにあった気がします。

奈良県田原の祭文では、錫杖と法螺貝を伴奏としています。

この歌祭文という物は大衆芸能の根元で、歌祭文から生まれたクドキ調から盆踊り等の芸能が成立した様です。

DVDに収録される田原の祭文踊りは、私の地元で行われる盆踊りと全く同一の物でした。
そんな普通の盆踊りに、こんな歴史があったとは・・・ビックリ。

櫓を組んで、それを中心にする芸能が、やかて盆踊りに。
座敷で錫杖を持ってする芸能が、やがて漫才へと変化した様です。

この他にも、近世の様々な大衆芸能に大きな影響を与えていると考えられています。

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宗教と祭文

祭文が宗教儀礼として始まりますが、大衆芸能へと至るまでの間に、修験道が介在していた様です。

歌祭文で伴奏に錫杖と法螺貝が用いられている事は、修験道からの影響であり、当初は門付け芸としても流行していた様です。

またもWikipediaからの引用。

"山伏や願人坊主がみずからの奉ずる神の本地や縁起、神仏の霊験を説きあるいて祭文を唱え、また、唱導の伝統を引き継いだ宗教色の強い「唱導祭文」をもって諸国を放浪する一方、アドリブで卑猥なことばや駄洒落といった諧謔味を多く入れた「もじり祭文」や「若気祭文」も広く大衆の人気を集めた"

DVDに収録されていた奈良県・田原の祭文にも、宗教色の強くない語りもの音楽に近い祭文が収録されていました。

伴奏に用いられた三味線の代わりに"デロレンデロレン"と唱えることで、三味線の音を表現しているそうです。

祭文に関する具体的な資料はどうも多様で、具体的な芸能の様相が掴みにくく、芸能の本質が大衆芸能として散逸してしまっている感が無くもないですが、面白い芸能だと思いました。

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